【体験談】戦死した身内(祖父・父)の軍事記録・軍歴証明書の取り寄せ方と必要な書類

今回はいつも以上にちょっと真面目で、重めの話。
第二次世界大戦が終わって、80年以上が過ぎ、当時兵役を経験した人達もかなり少なくなってきてしまったかと思います。
一方、「父が徴兵されていた」「祖父が職業軍人だった」という方はまだいるかと思います。
その中でも「戦時に祖父、父、身内が兵士として戦死した」というケースの場合、その戦死した身内の「戦時記録(軍事記録)」を手に入れることが可能な場合があり、今回私が入手することに成功したので、その請求方法や、軍事記録の見方を紹介します。
厚生労働省で旧海軍から引き継がれた資料の写し等の申請を請求できる!?
私の父の父。
つまり父方の祖父は、父の顔を見ることなくフィリピンのどこかの山中で戦死しています。
1945年(昭和20年)8月15日に終戦を迎えた日本ですが、そのもっと前から終戦ムードは濃厚。
父は昭和18年に生まれたのですが、父が産まれる2ヶ月前に祖父は召集されて、もしかしたら少しは一時帰宅などで一瞬父の顔を見たかもしれませんが、昭和20年5月にマニラ東方に行きそこで戦死しています。
こんな情報を実は……父は知りませんでした(苦笑)
私が家系図を作るべく先祖を辿っていたのですが、その際、祖父の情報を少しでも知りたく戦没者情報を検索しまくっていたところ、なんと厚生労働省で「旧陸海軍から引き継がれた資料の写し等」を請求できることが分かりました。

父が2歳になるかならないかで戦死してしまったため、祖父の話が全く分からなかった孫の私ですが、少しでも祖父のことを知りたく請求してみました。
カワチヨ.第二次世界大戦では約230万人の日本兵が戦死しているとの情報がありますので、実は私のような祖父を見たこともないという方も多いかなと。
海軍か陸軍で請求先が違うので注意!!
さて、ここで注意が必要なのが『旧海軍』と『旧陸軍』では請求先が違うということ。
海軍は陸軍よりも人数が少なかったため、資料の保存先は『厚生労働省』。
一方で、旧陸軍所属だった場合は、「終戦(戦没)当時の本籍地」があった各都道府県軍歴証明担当課に問い合わせする事になります。
請求の仕方
あなたが戦没者の「子」で名字を変えていないなら簡単。
免許かマイナンバーカードのコピーと自分の住民票(最近ではコンビニコピー機で取れます)。
それに請求したい身内の関係を示す自分の戸籍謄本と、戦没者の除籍謄本を1枚取って、旧軍人軍属の個人情報開示申請書に必要事項を書いて終わり。
あとは、それらを封筒に入れて送るだけ。
ただ、もう戦後80年も経っており、請求者の殆どは私のような孫世代でしょう。
その場合ちょっと面倒。
特に結婚した場合、名字が変わっているケースが多いと思うので、必要な「戸籍謄本」を集めるのが少し面倒になります。
免許かマイナンバーカードのコピーと自分の住民票は必要として、戸籍謄本は「自分と祖父をつなげる戸籍謄本」が必要。
なので、私の場合は、
「旧姓が載っている「今」の戸籍謄本→祖父の名前が載っている旧姓時の戸籍謄本→祖父の除籍謄本(死亡年月日が載っているもの)」
の3枚を請求。
それらを同封して、自分と祖父(戦没者)の繋がりを証明するとして請求しないとなので、ちょっと面倒。
カワチヨ.先祖を辿る場合も名字が変わっていると一手間増えるので、こうした過去の情報を集めたいという場合は早め、早めの方がいいです。
その他、もし遺影などで所属部隊や階級が分かるようならそれもメモして同封しておくと、探す方が探しやすいかと思います。

カワチヨ.私は個人情報モロだったので、特定記録郵便で出しました。
請求後どれくらいで送られてきたか
私は1月末に送って、返信が届いたのは5月のGW明け。
これでも実は早い方。
何百万人の資料の中を探していくので、どうしても時間がかかります。
なので、分かる限りの情報は伝えておいた方がよいかなと。
送られてきた戦没者調査票
さて、私はてっきり古い赤紙みたいなのがペラリと1枚入っているだけかと思ったのですが、結構色々入っていました。
まずは、厚生労働省の方で要約した戦没状況などが書かれた紙。

正直、資料を見てもパット見はわからないので、メッチャ助かりました。
カワチヨ.でもよ~く読み込んで、AIとかで確認していくと当時の状況が分かってきました。
その他戦没者名簿。


叙勲資格調査票

とても悲しい、戦没者調査票など。

ちなみにここに書かれている、「璽(ジ)」とは「霊璽(れいじ)」の事を指してて、激しい戦闘などで、実際のご遺骨、髪や爪などの物理的なご遺体の一部を回収して持ち帰ることができなかった場合、代わりに白木の箱にこの「霊璽(お名前が記された木札や紙など)」を納め、ご遺族へ引き渡し(伝達)をしたという意味。
私の祖父は、マニラ市街地での激しい戦闘(マニラ市街戦)で、日本側の防衛部隊に入れられたようなのですが、日本軍側はほぼ壊滅。
恐らく5月10日という日付から、マニラ市街地から逃げ、周辺の山岳地帯(東部のシエラマドレ山脈など)に逃げ込み、アメリカ軍の追撃を受けながら過酷な持久戦を行っていた時期にあたります。
記録にある「敵上陸部隊と交戦中」とありますが、純粋に銃で撃たれたというよりも、焼夷弾などを隠れていた壕に投げ込まれて跡形もなかった可能性が高いということが推測できます。
と、こういったことも今回送られてきた資料で分かりました。
カワチヨ.父親みたいにちゃらんぽらんで、「逃げちゃお♪」ってどこかに逃げ隠れて日本に帰り損なった…とかのほうが、幾分心すくわれるなぁってちょっと思ってしまいました。
……ゴメンお爺ちゃん、あなたの息子さん、ちゃらんぽらんなんですよ……。
そんな資料の中でも特に興味深かったのが、履歴原票。

これは当時の、召集がかかった時の情報~戦死するまでの情報が載っているもので、これを読んだところ、祖父は高卒(これは高校ではなく高等小学校という、尋常小学校を卒業後2年ほど通う実生活に役立つ知識を学ぶ学校の事だと推測)後、蒲鉾職人に。
その後、20歳になり徴兵されたんですが、海軍は船に限りがあるので、体格や素行が良い人など限定されて海兵団に選ばれる(とのこと)。
カワチヨ.お爺ちゃん、孫娘はしっかり「メスゴリラ」の血筋を受け継ぎましたよ
その他、「肩幅太くして猛顔なり」「上顎中央に細長き刀傷あり」など書かれていて、これは戦死した場合の目印として記録されていたのですが、こうした記録からも祖父の特徴がわかります。
カワチヨ.お爺ちゃん。お陰で私は旦那よりも肩幅があり、トイレで男に間違われるほど上背があって、猛き顔になったよ。
その後、2度目の召集で祖母と結婚。
3回目の召集で息子(父)が産まれるも、2年後に遠くの土地で戦死してしまったということも分かりました。
昔の人にしては父一人だけしか子どもがいないなんて珍しいな……と思っていたのですが、度重なる召集で、結婚しても家に帰る暇もなく、辛うじて昭和17年~18年の1年間だけ兵役がなかったのでそこでギリギリ父親が産まれて、今私に繋がったというのが奇跡。
カワチヨ.本当にギリギリだったと思うよ。ありがとう爺ちゃん婆ちゃん。そして、ごめんね。オタクで何してるのかよく分からない孫娘で。
もっと詳しく知りたい場合は
というわけで、もちろんどこの部隊に所属しているか。
どういった戦況に巻き込まれていたかによって、送られてくる資料は違うと思いますが、もし祖父・曾祖父などが兵だったという場合は、このように軍事記録票を請求することができます。
カワチヨ.因みに母方の祖父は、金持ちボンボンで徴兵されたけどコックとして活動しており、兵務を終えた後はろくに仕事もせずに飲んべえだらりと90近くまで生きていたので別に取り寄せる予定はナシ
さて、軍事記録が分かった後、さらにどういった部隊だったのだろうかとか、祖父、曾祖父はどのような足取りで戦時を生きていたのかなどを知りたい場合は、部隊の名前を
してみると、ワンチャン、その部隊の写真があったり、資料が出てきます。
カワチヨ.マニラ防衛部隊や硫黄島という言葉が関わっている場合は、小説含めた紙本での資料も沢山出てきます。
私の場合Xでも声がけ。
すると、詳しい方がめっちゃありがたい情報くれたりして(昭和館デジタルアーカイブもここで知った)、知らなかった事が分かったりするので、SNSは有効活用しましょう。
まずは厚生労働省に情報請求
亡くなった祖父に想いを馳せても仕方ない……なんて言われそうですが、今回資料を集めて父がギリギリ産まれることができたことなどもわかり、また「なぜ祖父は死ななければならなかったのか」など、戦争と平和、歴史についてとても深く考えることができます。
人は勝手な生き物なので「知らないことはなかったこと」になってしまいます。
でも、祖父がいたことは確かで。
戦争で亡くなった人が多くいたことは確かで。
なにがあったのか、どういう経歴を歩んでいったのかを知るのは、子孫としてできる最上の孝行じゃないかなとも思います。
その第一歩は、厚生労働省(もしくは各都道府県の担当課)に請求すること。
正直……家系図辿るより100倍楽です(苦笑)。
願わくば、小指の先だけでもいいので祖父の遺骨が見つかり、祖母と同じお墓に入れてあげられればなと思います。
カワチヨ.戦没者遺骨のDNA鑑定も厚生労働省で行っており、私は父のDNAを提供しています。

『役所で先祖の戸籍謄本の請求のやり方ってこうしたらいいんだ』という経験から、役所の窓口でスムーズに『ご先祖様』を辿るための戸籍請求・実践ガイドを作りました。
noteの有料記事となってしまいますが、役所で戸惑ったり、何度もやり直しをせずに済むように、かなり詳しくやり方を紹介しています。








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